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トランジスタブースター(1)LPB-1とその歴史

始祖 LPB-1

エフェクターの歴史を大雑把に考えてみると、その黎明期に当たるのは1960年代ではないでしょうか。

ビートルズ(The Beatles)やローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)
ロックレジェンドの活躍によってそれまでになかったサウンドが生み出された陰には、様々な最新鋭の機材がありました。

この時代に誕生したエフェクターの中でも後世に大きな影響を与えた機材として、
エレクトロ・ハーモニクス(Electro-Harmonix)のLPB-1が挙げられます。

https://www.ehx.com/products/lpb-1/


LPB-1とは

LPB-1は1968年に発表された、エレクトロ・ハーモニクスにとって最初のエフェクターです。
Linear Power Booster(リニア・パワー・ブースター)の略称で、和訳すれば「直線的出力増幅器」という感じでしょうか。
機能としては、オンオフスイッチとブーストノブだけがついていて、ギターの音を素直に増幅してくれる、なんともミニマムなエフェクターです。

発表当時の広告が公式サイトに掲載されています。現行品とは形が全く異なりますが、回路は基本的に変わっていないそうです。

EHX FLASHBACK: 1968 LPB1 - Electro-Harmonix

最初期はギターのジャックもしくはアンプに直接差し込んで使用するように作られていました。
カタログをよく見てみると、楽器側とアンプ側、どちらをジャックにするのか選べたようですね。
少し後には現行品のようにシールドで接続する形になったそうです。

ジミヘンの音を目指して

そして、このエフェクターの生みの親がマイク・マシューズ(Mike Matthews)氏。
元々、IBMで働いていましたがキーボードの腕前もプロ並みで、コンサートプロモーターとして活躍していたことからジミヘンと交友があったそうです。
当時の多くのアンプは、単体で強烈な歪みを出すことが難しかったことから、
マイクは、多くのギタリストがジミヘンのような音を出せるよう、LPB-1の開発に取り掛かったそうです。

こちらの記事の中で、マイク本人が当時を振り返っています。見た目からも強烈なキャラが伝わってきますね。

ビッグスターから少年少女まで。憧れの爆音と歪みと反響を「ギターを掻き鳴らす、すべてのやつらへ!」強烈個性のエフェクターメーカー | HEAPS

LPB-1は多くのギタリストに愛用され、今も現行品が販売されるロングヒットとなっています。


後世への大きな影響

LPB-1の成功を糸口に、エレクトロ・ハーモニクスはエフェクターを立て続けに生み出していきます。
ブースターに関しては、70年代にScreaming Bird、Screaming Treeというトレブルブースター、Mole、Hog’s Footというベースブースターを発表していますが、
それらの回路も基本的な構成はLPB-1と同じです。

https://www.ehx.com/blog/ehx-flashback-1978-screaming-tree-and-hogs-foot/


そして、今も多くのミュージシャンに愛されるBig MuffもLPB-1の回路を活用することで作られています。

LPB-1は、エフェクターの発展に大きな影響を与えただけでなく、今も息づいていると言えないでしょうか。
そして、今もその回路が活用され続けているのは、増幅回路のエッセンスが詰まっているからだと感じます。

このプロジェクトでは、LPB-1を足がかりにトランジスタブースターの試作開発を進めていきます。
次回は、回路の分析です。 

研究員M