Orville by Gibson改造(2)4芯ハムバッカーの配線(シリーズ・パラレル切り替え+ローカット)
前回はフロントピックアップにGotoh PickupsのHB-Classic αを取り付けました。また、プッシュプルポットを利用することでシリーズ配線とパラレル配線の切り替え機能と位相の切り替え機能を組み込みました。今回はブリッジピックアップのDiMarzio製D Sonicを取り付けます。

コントロール・機能
機能1 シリーズ・パラレル切り替え
シリーズパラレル切り替えはブリッジピックアップにも搭載します。ブリッジのパラレルは音が少し細くなりすぎる可能性はありますが、ミドルポジション時にバランスが取りやすくなるといった利点があるのと、実験も兼ねています。こちらはネックピックアップと同様のボリュームノブのプッシュプルに割り当て。
機能2 トーン・ローカット切り替え
トーンポットの方にはローカット機能を追加します。ダウンチューニングで激しく歪ませるとローがボワついてしまうことがあります。低音でキレの良いリフを弾きたい時にはローカットをして余分な低音を削ることが意外と有効です。また、ベースと帯域が被ってしまうとアンサンブル全体としてのバランスが悪くなり、音が埋もれてしまいます。そう考えると、手元で調節できるローカットはかなり実戦的な機能ではないでしょうか?なお、今回の配線ではローカットは全体ではなくブリッジピックアップのみに効きます。
今回組み込むローカットですが、G&Lに搭載されているP.T.Bシステムを参考にしています。P.T.B(Passive Treble & Bass)システムはLeo Fenderのデザインによるトーンコントロールで、通常のトーン回路による高域のカットに加えて、低域のカットも独立して可能なのが特徴です。また、他メーカーの類似機能とは異なりパッシブ回路で電池も不要なので、今回のプロジェクトにはぴったりです。
P.T.Bシステム
G&LによるP.T.Bシステムの紹介
P.T.Bシステムのデモ
参考の回路
では回路図を見ていきます。

トレブル側の回路は通常のトーン回路と同様です。一方ベース回路は0.0022uFのコンデンサと1MΩの可変抵抗が並列に並んでいることが分かります。抵抗値を調節することによって信号がどちらを通るかをコントロールする仕組みです。

今回は普通のトーンノブがPush状態の時は本来のトーン回路、Pull状態のときはローカットと切り替えるのでポットは共有する形になります。抵抗値が最大=トーン全開ローカット最大、抵抗値が最小=トーン暗く、ローカット最小つまりトーンが10の状態でポットを引っ張ると最大にローカットされた状態になってしまうということなのでここは好みが分かれるところですね。今回はG&Lで使われていたのと同じ0.0022uFのコンデンサを使いました。ポットの抵抗値の関係でP.T.Bシステムに比べるとマイルドなローカットになるはずです。また、P.T.BシステムではCカーブが使用されていますが今回は回転方向が逆向きに効くことになるのでAカーブで大丈夫です。
ブリッジピックアップ配線図

今回はトーン回路がポットの3番ピンにつながっています。これは前回フロントピックアップで使った50s配線とは異なり、モダン配線と呼ばれています。
これでボリュームノブを引き上げるとパラレル、トーンノブを引き上げるとローカットになります。ローカットはアンプによってはあまり感じない可能性がありますが、スピーカーの口径が大きく低音がよく出るアンプだとわかりやすいです。低音がカットされすぎだと感じたら、トーンノブを絞ることで穏やかにもできます。
総評
前回のフロントの配線と合わせて、音のバリエーションはかなり増えました。フロント単体はシリーズ・パラレルの2パターン、リアはそれにローカットの有無が加わるので4パターン、ミックスはそれらの組み合わせにフェイズアウトを加えて16パターン、全部で22のバリエーションが可能ということになります。
とはいえ実用的なものは限られてきます。個人的にはフロントのパラレルを使ったクリーン、ミックスポジションでのフェイズアウト、ローカットしたリアでのリフなどが気に入っています。今回は木部加工を避けるためにプッシュプルのポットを使いましたが、普通のミニトグルスイッチでも同様の配線は可能です。追加したパーツ自体はスイッチ以外はコンデンサのみですので、コストもそれほどかからず色々な音を楽しめる改造です。
五反田音波技研所長R