Gotanda Onpa Giken

試作開発

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Orville by Gibson改造(1)4芯ハムバッカーの配線(シリーズ・パラレル切り替え+フェイズ切り替え)

Orville by Gibson Les Paul modelのピックアップを交換しました。ほぼボディのみのジャンクで手に入れ、間に合せのパーツで使っていたギターですが、ニュー・スタンダード・チューニング(NST)用のメインギターになっていたのでパーツを色々とアップグレードした一環です。

Orville by Gibson Les Paulの画像
Orville by Gibson Les Paul。ジャンクで入手したので細かい詳細は不明。

コンセプト

音域の広いNSTに対応

スタンダードチューニングと比較すると6弦が長三度低いC、1弦は短三度高いGと音域が広くなるのでそれに対応。

アグレッシブな歪みとクリーンの両立

低音で激しく歪ませるモダンメタル的な音と、モジュレーション・空間系エフェクターを活用しやすいクリーンを両立させる。

幅広い音色

実験も兼ねて、プッシュプルポットを活用。なるべく多くの音色を選択できるような回路を組む。


ピックアップ選定

ネックピックアップ

ネックは主にクリーンや軽い歪み、ファズ系のリードで使うことが多いので、ビンテージタイプのピックアップを使います。ただし、配線で幅広い音色を実現したいという事で4芯のモデルを探します。今回は値段も手頃、日本製で評判の良いGotoh PickupsのHB-Classic αを採用しました(個人的な好みでカバー付きのもの)。

ブリッジピックアップ

ブリッジは低音のヘビーなリフなどに対応できるよう、ドロップチューニング向きのモダン高出力ピックアップであるDiMarzioのD Sonicを使います。さらにアグレッシブなモデルやEMGなどのアクティブピックアップも考えましたが、ネックピックアップとの相性も考慮の結果です。ビンテージ系のピックアップと出力が違いすぎるのも不安だったので、モダン高出力の中では少し控えめなD Sonicを採用です。こちらも4芯なので配線の自由度があります。

Orville ピックアップの画像
ネック:Gotoh HB-Classic α ブリッジ:Dimarzio D Sonic

コントロール・機能

レス・ポールは2ボリューム2トーンの4ノブ構成が基本ですが、プッシュプルポットを使うことで音色を切り替えられるようにします。今回は豪華に4つのポット全てをプッシュプルに換装です。個人的な好みでボリューム用に500KΩのBカーブ、トーン用は500KΩのAカーブにしています。

機能1 シリーズ・パラレル切り替え

ハムバッキング・ピックアップを使った配線の定番といえばコイルスプリット(コイルタップとも呼ばれる)ですが、今回はパラレル切り替えを採用します。

パラレル配線のメリット

  • ハムキャンセル効果が残る
  • 出力低下
  • 音色は明るく、シャキッとした音

コイルスプリットと違ってハムキャンセル効果が残ることで、ノイズに強いままで中低域を減らす事ができます。電気的にはインダクタンスがコイルスプリットよりも下がり、共振周波数は上がるため、コイルスプリット以上の高域が強調されるようです。一方シングルっぽさはコイルスプリットほどではなくP-90的と言われることもあるようです。同一ピックアップでスプリットとパラレルを切り替えたことが無いのですが、実際のところはどうなのかいつか実験しようと思います。

今回はネック・ブリッジの双方にシリーズ・パラレル切り替えを導入します。切り替えにはそれぞれのボリュームのプッシュプルを割り当てます。プッシュでシリーズ、プルでパラレルです。

機能2 位相反転

4芯のピックアップのもう一つの利点は位相反転ができることです。位相が逆のピックアップ同士をミックスすることによりフェイズアウトした独特の音が作れます。ピーター・グリーンやブライアン・メイが使用していたことで有名ですね。

ネックかブリッジの片方だけ切り替えられるようにすれば十分なので、ネックピックアップのトーンを引き上げることで位相を切り替えられるようにします。


ネックピックアップ配線図

ネック側の構成が決まったところで配線図を考えます。今回はコンデンサをボリュームポットの出力側に繋ぐ、50s配線を採用します。Fralin Pickupによると、ボリュームを絞っても高域が失われにくい代わりに、トーンを絞るとボリュームにも影響がでるのが特徴のようです。

'50s Wiring vs Modern Wiring...What's the deal? | Fralin Pickups

コンデンサ

コンデンサは定番の0.022μFです。トーンを絞った時の効きを抑えたい場合は0.01μFのように小さい値、よりしっかりと効かせたいときは0.047μFのような大きい値にすると調整できます。

配線

4芯の画像
ピックアップの4芯ケーブル。黒白赤緑の4本とシールド。

Gotohの4芯は

  • 黒:North-Start
  • 白:North-Finish
  • 赤:South−Finish
  • 緑:South-Start

となっていて、白と赤を接続し、残りの黒と緑の片方をHot、片方をGNDとすることで通常のハムバッカーとして動作します。このときどちらをHotにするかによってフェイズが変わるので、合わせるピックアップを考慮して決める必要があります。Gotohの場合は黒をHotにすると正相(ピックアップに磁性体を近づけると+離すとーに電圧が振れる)のようなので、今回はこれを基本形とします。

ハムバッキング・ピックアップ配線図
配線図基本形。配線の色はメーカーにより異なります。

パラレル配線

パラレル配線の場合は、黒と赤、白と緑がそれぞれつながり、黒赤をHot、白緑をGNDにすることで正相の出力が得られます。つまりシリーズ・パラレル切り替えスイッチの役割は、赤と白の配線の繋がる先を切り替えることです。

シリーズ・パラレル切り替え配線図
DPDTトグルスイッチまたはプッシュプルポットを使ったシリーズ・パラレル切り替え配線

中央の端子と下段の端子がオンのとき赤と白が繋がってシリーズ配線、中央と上段がオンの時黒と赤、白と緑が繋がってパラレル配線になります。

フェイズ切り替え

前述したようにフェイズはHotとGNDを入れ替えることで切り替えることが出来ます。今回でいえば、黒と緑(パラレル時は黒赤と白緑)の役割を反転させることで切り替えを行います。

シリーズ・パラレル切り替え+フェイズ切り替え配線図
シリーズ・パラレルとフェイズ切り替えの双方を追加した配線

ボリュームポットの出力(中央の端子)からピックアップセレクターのトグルスイッチに送ればフロントピックアップの配線は完成です。


次回

長くなったので次回に続きます。ブリッジピックアップにはフェイズ切り替えが必要ないので別の機能を追加します。